【Part2】カリナ「捨てられた子犬のウィンターを拾った話」(Aespa小説)

Aespa

チャプター10(事故)

チャプター10

カリナはいつものようにすれ違う町の人たちと挨拶を交わしながら
自転車の後ろにエリを乗せて仕事に向かっていた。

お店に到着するとカリナはエプロンを身に着けながら、エリに尋ねた。

カリナ「ジョギの朝ごはん用意するの忘れてないよね?」

エリ「もちろん。ちゃんと用意したよ」

カリナ「そっか。ならよかった」

 

エリ「カリナさ、なんか変わったよね?」

カリナ「え?変わったって?」

エリ「ジョギのこと、いっつも気にかけてるじゃん。愛情かけすぎだよ!」

エリはぷくーっと膨れ面をしながらカリナに言った。

 

カリナ「あれ~?エリ、もしかして妬いてる??子犬相手に?あははは」

カリナは口元を手で覆いながら笑った。

 

エリ「そうだよ!ヤキモチ妬いてるの!悪い?!」
エリは子供みたいにふてくされて言った。

カリナ「あいご~ 私はエリのことも大好きだよ~。いつも私といてくれるし、ちゃんと気にかけてるよ?」

カリナ「ほら、ハグしてあげるからおいで」

腕を広げて歩み寄るカリナに、エリは母親のもとに向かう子供みたいに駆け出した。

エリ「カリナ―」

 

 

チリンチリーン

 

入り口のベルがなった。お客さんだ。

カリナ「いらっしゃいませ~」

 

抱きしめてもらう寸前にお預けをくらってしまったエリは今にも泣きそうになって膨れていた。

エリ「ひーん…T_T」

——————————-

家でひとりぼっちのウィンターはやることがなく退屈していた。

カリナが仕事に行ってから5時間くらい経っただろうか。

残りの時間で何をしたらいいかわからずにいた。

 

そんなとき、突然ウィンターの頭にひとつのアイデアが浮かんだ。

外出するのはどうだろう?

 

キッチンに向かうと、帰ってきたときに家に入れるように少しだけ窓を開けた。

人間の姿で玄関から出て、外の道を歩いてみた。

こんな風に自由に外を歩いたのは何年ぶりだろう?もう2年ぶりくらい…だろうか?

 

ウィンター「やっぱり外を歩くのは気持ちいいな~」
ウィンターは嬉しそうに笑った。

 

笑顔を浮かべて心地よさそうに歩いているきれいな女の子を、町の人が放っておくはずもなくすれ違ったおばさんが声をかけてきた。

おばさん「あら~お嬢ちゃん、どこから来たの?」

ウィンターは立ち止まると声をかけてきたおばさんに挨拶をした。

ウィンター「こんにちは~。最近この町に来たんです」

おばさん「あら~そうなの?近くに住んでるの?」

ウィンター「そうなんです。あっちの~向こう側に家があります」
言いながら指さしたのはカリナの家がある方角だ。

おばさん「あ~そうなんだね。歓迎するわ~。そろそろ仕事に戻らないとだから、またねお嬢ちゃん~!」

軽くお辞儀をするとおばさんは向こうへ歩いていった。

 

ウィンターも再び歩きだした。
しかし彼女は自分が歩いている方角がカリナのフラワーショップへと向かう道だとは気づいていなかった。

 

ウィンター「フンフン♪フフ~ン♪」

鼻歌を歌いながら歩いていると、すぐ前方に道路を渡ろうとしている子供が目に入った。

 

ウィンター「あれ..?」

次にウィンターの目に入ったのはスピードを出してこちらに向かってくるトラックだった。

 

ウィンター「危ないっ!」

ウィンターは子供のところへ全力で走った。

 

 

(お願い!間に合ってっ!!)

 

 

道路を渡っている子供を思いっきり向こう側に突き飛ばした。

 

 

(間に合った!!)

 

 

それが間違いだったと気づいたのは彼女が顔を横に向けたときだった。

最後に見た光景は目前に迫るトラックと、鳴り響くクラクションだった。

 

 

キキィイイイイーーッ!!!!

 

 

バンッ!!!

 

大きな衝突音が鳴り響いた。

その音は近くのフラワーショップにいたカリナにも聞こえていた。

カリナ「なんの音?」

気になって店の外に出てみると15メートルくらい前方の位置に人だかりができていた。

 

カリナ「なにかの事故…?」

 

カリナは人だかりができているところまで行くと、近くのおばさんに尋ねた

カリナ「すみません、なにかあったんですか?」

おばさん「それがね..女の子が道に飛び出した子供を助けようとしてトラックに轢かれて…」

おばさん「怪我もひどいみたいなの..」

 

気になったカリナは事故が起こった場所まで近づいて確認することにした。

カリナ「エリ、ちょっと待ってて。見てくるから」

エリにそう伝えて人だかりの間をかき分けながら歩いた。

 

しかし、ようやく人混みを抜けて目に入った光景にカリナは目を見開いた。

そこに血だらけになって倒れている女の子の姿に。

あの姿は紛れもなく…

 

 

カリナ「ジョギ!!」

 

 

 

カリナは倒れているウィンターのそばまで駆け寄って膝をついた。

ウィンターの頭部は血だらけで、足もひどい怪我をしていた。

カリナ「ジョギ…私をみて…」

カリナは泣きながら意識が朦朧としているウィンターを抱きしめて言った。

 

 

ウィンター「ジミン…オンニ…」

夢を見ているのだろうか?ウィンターはそう思った。

 

人間の姿をしている自分をジョギと呼ぶカリナに困惑した。

ウィンター「ど、どうして… 私のこと…」

カリナ「なんで家から出たのっ?!待っててって言ったじゃないっ!!なんでっ!!」

怒っているのに涙を拭いきれずに泣いているカリナを見てウィンターは優しく笑った。

自分のために泣いているカリナがとても愛おしく思えた。

 

カリナ「すぐに救急車が来るから…もう少しだけ…頑張って」

カリナは涙を流しながらウィンターの手を握って言った。

 

ウィンター「オン…ニ…泣かない…で…」

ウィンターは微笑みながら言った。

 

カリナ「お願い…死なないで….」

ウィンター「心配…しない…で…私は…大丈夫…だから….」

カリナ「もう喋らなくていいから!こんなときに…そんな風に笑わないでよ!」

笑みを浮かべたままのウィンターにカリナは言った。

 

ウィンター「オ、オンニと…まだいっぱい…話したい…ことが…あるんだ…」

カリナ「バカッ!私も同じよ!..だから死なないでっ!」

 

 

————

つづく。

コメント

  1. s. より:

    続き早くみたい〜

  2. s. より:

    続き見たいです!

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