新しいブラウザは使うなとの声!Floorpから学ぶ教訓

新しいブラウザは使うなとの声!Floorpから学ぶ教訓

新しいブラウザを安易に推奨できない理由:Floorp ブラウザのレビューを通して学ぶ教訓

インターネット上には、常に新しいブラウザが登場します。プライバシー重視を謳うもの、高速なブラウジング体験を提供するものなど、魅力的な選択肢が増えるのはユーザーにとって喜ばしいことです。しかし、新しいブラウザの利用を検討する際には、慎重になる必要があります。最近話題になった Floorp というブラウザは、この問題を改めて私たちに突きつけています。

Floorp とは?そして何が起きたのか?

Floorp は、Firefox をベースに開発されたプライバシー重視のブラウザとして、一躍注目を集めました。しかし、その開発過程で、ライセンスがオープンソースからクローズドソースに変更されたことが、大きな波紋を呼びました。開発者は、Floorp のフォーク版が適切な帰属表示なしに公開されたため、やむを得ずライセンスを変更したと説明しています。将来的にオープンソースライセンスに戻す可能性も示唆していますが、現時点ではクローズドソースの状態が続いています。

この出来事に対し、ユーザーからは様々な意見が寄せられました。「オープンソースであるべき」「開発者の権利保護は当然」といった意見や、「Floorp は既にオープンソースに戻っている」という指摘、さらには「ライセンス変更は短期間で、現在はオープンソースに戻っている」という情報提供もありました。

Floorp ブラウザの魅力:オープンソースでカスタマイズ性抜群

Floorp は日本の企業 ablaze が開発した、Firefox ESR ベースのブラウザです。Chromium ベースのブラウザが主流の中、Firefox ベースの Floorp は貴重な存在です。開発目標は「プライバシー、セキュリティ、カスタマイズ性、最新の状態を保つこと」です。

Floorp の最大の魅力は、そのカスタマイズ性の高さです。テーマ、レイアウト、サイドバー、タブの表示方法など、様々な要素を自分の好みに合わせて変更できます。

テーマ:

  • Lepton Original:デフォルトテーマ。ユニークなデザインで、他のブラウザにはない独自性があります。
  • Lepton Photon:Firefox Quantum の Photon テーマに似た外観。
  • Lepton Proton Fix:Firefox Proton テーマをベースに、Floorp 開発チームが改良を加えたテーマ。
  • Floorp Flurial:非推奨テーマ。ダークモードでは Chrome に似た外観になります。
  • Gnome テーマ:Gnome デスクトップ環境と統一感のあるテーマ。

レイアウト:

  • Basic:通常のブラウザと同様のシンプルなレイアウト。
  • Default:サイドバーが表示されるレイアウト。
  • Advanced:画面下部にパネルが追加されるレイアウト。

サイドバー:

  • ブックマーク、履歴、ダウンロード、パスワード、拡張機能などに素早くアクセスできます。
  • YouTube や Google 翻訳など、よく使うウェブサイトをサイドバーに追加することも可能です。
  • Floorp Notes というメモ機能も備わっています。

タブ表示:

  • 水平タブ:通常のブラウザと同様のタブ表示。
  • マルチロータブ:タブを複数行に表示。
  • 垂直タブ:タブを縦に表示。

機能面:コンテナ機能は便利だが、タブグループ機能は非搭載

Floorp には、Firefox の便利な機能であるコンテナ機能が搭載されています。コンテナ機能を使うことで、個人用、仕事用、銀行用など、用途別にタブを分離することができます。これは、複数のアカウントを使い分けたり、プライバシーを保護したりするのに役立ちます。

一方で、Floorp にはタブグループ機能が搭載されていません。タブグループ機能とは、複数のタブをグループ化して管理できる機能です。これは、多数のタブを開いて作業する際に便利です。Brave などのブラウザには標準搭載されていますが、Floorp では拡張機能を導入する必要があります。

パフォーマンス:高速で快適なブラウジング体験

Floorp は、全体的に高速で快適なブラウジング体験を提供します。ウェブサイトの読み込み速度も速く、ストレスなく操作できます。

プライバシーとセキュリティ: Telemetry 非搭載で HTTPS only モードはデフォルトで無効

Floorp はプライバシーとセキュリティを重視したブラウザです。設定画面には、フィンガープリント対策、HTTPS only モードなどのオプションがあります。特筆すべきは、Firefox に存在する Telemetry 機能が Floorp には見当たらないことです。これは、Floorp が Telemetry を完全に排除していることを示唆しており、プライバシー重視のユーザーにとって大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、HTTPS only モードはデフォルトで無効になっています。これは、セキュリティ面で不安が残る点です。HTTPS only モードを有効にすると、HTTPS で接続できないウェブサイトへのアクセスがブロックされるため、セキュリティが向上します。Floorp もデフォルトで有効にするべきだと感じました。

なぜ新しいブラウザの推奨は難しいのか?

Floorp の事例は、単なる一開発者の判断ミスとして片付けることはできません。これは、新しいブラウザ、特にオープンソースプロジェクトを安易に推奨することの難しさを示す象徴的な出来事と言えるでしょう。

  1. 信頼性と継続性の問題: 新しいプロジェクトは、長期的な信頼性や開発の継続性が未知数です。Floorp のように、開発方針やライセンスが突然変更される可能性は常に存在します。ユーザーは、常に変化の可能性を考慮する必要があります。
  2. 責任の所在: もし、推奨したブラウザが後にセキュリティ上の問題やプライバシー侵害などの問題を起こした場合、推奨者にも一定の責任が問われる可能性があります。特に、影響力を持つ立場にある人や情報は、責任の大きさを自覚する必要があります。
  3. ユーザーへの影響: 推奨に基づいて多くのユーザーが利用を開始した後、プロジェクトがクローズドソース化したり、開発が停滞したりすると、ユーザーに計り知れない影響を与えます。信頼して使い始めた矢先に、開発が止まってしまうリスクは無視できません。

新しいブラウザを選ぶ上での教訓 - Floorp から何を学ぶか?

Floorp の事例は、私たちに以下の教訓を与えてくれます。

  • 新しいブラウザを選ぶ際には、開発体制、コミュニティの活発さ、ライセンス、セキュリティ対策など、多角的な視点から情報収集を行うことが重要です。
  • 特に、プライバシーやセキュリティに関心の高いユーザーは、安易に新しいブラウザに乗り換えるのではなく、実績のあるブラウザを使い続けることも選択肢の一つです。
  • 新しい技術やサービスは常に変化していく可能性があることを念頭に置き、情報収集を怠らず、常に最新の情報に基づいて判断することが大切です。

新しいブラウザは、時に私たちに新鮮な体験を与えてくれます。しかし、その裏側にあるリスクや問題点についても、しっかりと理解しておく必要があります。Floorp の事例を教訓に、私たちはより賢明なブラウザ選びを心がけたいものです。

総評:カスタマイズ性は魅力だが、過剰な期待は禁物

Floorp は、カスタマイズ性の高さ、高速なブラウジング体験、プライバシー重視の姿勢など、多くの魅力的な要素を備えたブラウザです。特に、Vivaldi のような多機能ブラウザを好むユーザーにはおすすめです。

しかし、Floorp はまだ開発途上のブラウザであり、タブグループ機能の欠如や HTTPS only モードがデフォルトで無効になっているなど、改善点もいくつか見られます。また、Floorp をめぐるライセンス問題からもわかるように、新しいプロジェクトには常に変化の可能性がつきまといます。過剰な期待はせず、今後の開発を見守っていく必要があるでしょう。

結論としては、Floorp は魅力的なブラウザですが、Firefox から乗り換えるほどの決定的な理由はありません。現状では、Firefox を使い続ける方が無難と言えるでしょう。

コメント欄に見るユーザーの意識

Floorp をめぐる議論は、ユーザーの間でも大きな関心を集めました。コメント欄には、「Floorp は既にオープンソースに戻っている」という指摘や、「短期間クローズドソースになった後、オープンソースに戻った」という情報提供など、最新情報を共有しようとする動きが見られました。

また、「オープンソースであるべき」という意見がある一方で、「開発者の権利保護も重要」という意見もあり、オープンソースプロジェクトにおけるライセンス問題の難しさが浮き彫りになりました。

さらに、「Floorp という名前が面白い」といった声も聞かれ、新しい技術に対する純粋な興味や期待が感じられました。